芸術の都、ウイーンでの寅さんの恋物語
みちのくの田園地帯、くりはら田園鉄道が、
寅さんを乗せのんびりと走っている。
突然すさまじい警笛とともに急ブレーキ。
見ると自殺をはかり、線路に寝ている男が。
男はノイローゼの馬面サラリーマン、坂口兵馬。
「おい、死にぱぐっちゃったなあ、
またそのうちやりゃあいいよ、な」 ←スゲエ励まし
寅さんは、哀れな彼を面倒見る。
すっかり寅になついた兵馬はくっついて離れない。
「あなたにとって、生き甲斐とは何でしょうか?」
「そうさなあ、旅先でふるいつきたくなるような、
いい女とめぐり合う事さ」
「お前これから何処行くんだ?あるだろ行きたいとこが」
「あるにはあるんですが、少し遠いんです」
「いいよ、かまわねえ、言ってみな、何処行きてえんだい?」
「ウイーンです」
「ああ、湯布院か、そら遠いよ」
「いえ、ウイーンなんです」
「知ってるよ、湯布院だろ、九州のな」
寅さんは坂口とウイーンに行く約束をしてしまう。
くるまやでは、寅さんがウイーンに旅行に行くと知り、皆で緊急会議
博は経緯と真偽の程をこまかに確かめる。
櫻は兄の海外行きと、坂口にかかるであろう迷惑を心配する。
おばちゃんは人の金で旅行しようという寅がひっかかる。
満男はウイーンがどれだけ遠い所かを、地球儀で説明する。
「伯父さん、ここが日本だろ、中国ソビエト・・・この辺がウイーン」
寅さん指で距離を測り「わりあい近いじゃねえか」
「だって、これが地球だよ」
「え、地球ってこんな小さいのか?」
もっと説明しようとする満男を博が制する「満男、無理だ」
・日本語が通じない
・洋食、ベッド、洋式便所
・寅の身だしなみが通用しない
・親を温泉旅行に連れて行った、麒麟堂のせがれと比べてみっともない
・モーツアルトに興味がない
などの理由で、旅行を断わる事にする
ところが寅さん断りきれずに、飛行機に乗ってしまい
経由地のスキポール空港から櫻の家にSOSの電話 ←すごい!国際電話!!
「よう、何とかできねえか?警察に連絡するとか、御前様に相談するとか」
結局ウイーンに連れて行かれた寅さん、ホテルから一歩も出なかった。
三日もするとホテルに飽きた寅さんはウイーンの町を観光する
ところが何もかも全く興味が無い寅は、坂口とはぐれてしまい、さまよっている所を
現地日本人ガイドの久美子に助けられる
ホテルの名前も電話も分からないし、お金も持ってない寅。
困った久美子は、面倒見のいい現地の日本人マダムに寅を預ける。
マダムの家で日本食をご馳走になる寅さん。
「そう言えば、どんな仕事してたの?おばさんの旦那さんって」
「表向きは輸入商やってたんだけど、本当はどうもスパイだったらしいの
死んだ後で分かったんだけどね・・・寅さん、なんのお商売?」
「ええ、表向きは行商人って事になってますけども、本当はスパイみたいなもんですよ私も」
「あはははは、変なスパイ」
一方、坂口は一人舞踏会、そこで美しいウイーン娘、テレーゼと踊り、素敵な恋をする。
翌日、寅さんと久美子は二人、ドナウ川を歩く
寅は、恋に行き詰まり、意地だけで仕事を続けていて、
本心では故郷を恋しがっている久美子に気付き、慰める。
久美子も故郷の塊のような男、寅と接しているうちに、日本に帰る決心をするのだった。
空港で、寅さんと兵馬、そして久美子がマダムと別れをする
そこに、久美子の元恋人へルマンが引止めにくる
「久美、僕は君を離さない、絶対に!!すいません、この人は飛行機に乗らないから!!」
抱き合い、キスを交わす二人に、寅さんが言う
「おい、こら外人の青年!久美ちゃんを幸せにしろよ
もし泣かすような事があったら、この俺がただじゃおかねえぞ!あばよ」
寅さんはヨロヨロと飛行機に乗った。
男はつらいよ~寅次郎心の旅路
真の旅人の寅さんは、何処に行こうが、誰に会おうが
何にも束縛されないし、気おくれもしない。
私はこの作品に男はつらいよの集大成的な魅力を感じるのだ。
ところで、
なんで初の海外ロケ地がウイーンなんだと思う人もいるだろうが
男はつらいよは、クラシック音楽や、それに勝るとも劣らない
山本直純さんのすばらしい音楽で彩られた映画なので
ウイーンは最高に適した場所なのではないのかな?と私は思う
西郷隆盛の銅像は寝巻き着て、犬連れている
モッツアルトさんは襟ひらひらさせた、いい仕立ての着物
偉人としての格はどちらが上なのか?
まあ私には、あの柴又駅の前に立っている人物の銅像が
紛れも無く、歴史上でも世界中でも一番の偉人だ。( ̄∇ ̄)
博さんと櫻さん、満男大学出て就職した今
もうヨーロッパ旅行したんだろうなあ。
男はつらいよ 寅次郎心の旅路
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コメント
ハロー。
「お面かぶったような人」と
ウィ―ンに行かないための『言いわけ』
『店が忙しいんだって』
『こいつの倅が大学おこっちゃった、んー。
オレに勉強教えてくれっていうんだよ…』
『裏の印刷工場の社長、あれがね、オレに
帳簿に目を通してくれって、んー、ちっ』
寅、ぜんぜん説得力ねえー ゞ( ̄∇ ̄;)
で、兵馬 心爆発 「あう~~~ん、んんんん…」
で、怖くなって泣く泣くウイーンへ…(TT)
日本で一番人のいい青森の福士さんの
おかげで本当にウイーンにいることがわかって
さくらたち、よかったよかった。
ドナウ川のほとりで久美子さん言いますよね。
「4年目から5年目が辛かった…」
あそこで不覚にも僕は涙が出ちゃいました。
外国暮らしはそのあたり辛いんですよね…。
それにしても
寅が唄う『大利根月夜』は胸に沁み、心に沁みました。
最後に御前様しめてました。
「もともと寅の人生そのものが夢見たいなものですから…」
それをさくら聞いた寅、それに応えて
「じゃあまた夢の続きを見るとするか…」
ダンケ。
本当に辛そうでしたよね
竹下景子さんってやっぱただものじゃないです
あたりまえか。
でも現地日本人ガイドって大変でしょうね
イラついた演技もリアリティがありました
男はつらいよ/寅次郎心の旅路
男はつらいよ/寅次郎心の旅路(1989/日本)
評価(お奨め度)★★☆☆☆
監督: 山田洋次
製作: 内藤誠
プロデューサー: 島津清/黒須清皓
企画: 小林俊一
原作: 山田洋次
脚本: 山田洋次/朝間義隆
撮影: 高羽哲夫
美術: 出川三男
編集: 石井巌
音楽: 山本直純
助監督: 五十嵐敬司
出演: 渥美清/倍賞千恵子/竹下景子/淡路恵子/柄本明/三崎千恵子/下絛正巳/…
映画評「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1989年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり