ため息を、どうする訳ではないけれど、
わたくしまたまた、恋したりして
千曲川のほとり、小諸の町を旅する寅さん
一人の老婆と出会う、侘しい一人住まいの老婆を
見るに見かねて、一晩泊まる寅。
翌朝、小諸病院の女医、真知子が老婆を迎えに来る。
老婆はこれ以上一人にしておけない病状だった。
「おら病院で死ぬのはいやだ、この家で死ぬんでやす」
寅さんの説得で、やっと老婆は病院に行く、
最後に我が家を目に焼き付けて・・・
<子諸なる、古城のほとり、雲白く、遊子かなしむ>
寅さんは真知子の家に食事に招待される。
早稲田大学で国文学を専攻する、真知子の姪の由紀も一緒だ。
「そうだわ、遊子かなしむの遊子って、寅さんみたいな人を言うのねきっと」
「とんでもねえ、俺みたいなもんを勇士だなんて、けど真田十勇士とか
爆弾三勇士なんてのはガキの頃あこがれました。
どっちかと言うと、猿飛佐助のような忍術使いが好きだったなあ」
寅さんは柴又に帰っても、美しい小諸の町で恋した真知子が忘れられなかった。
<寅さんが、早稲田の杜に現れて、やさしくなった午後の教室>
早稲田大学・・・真知子が気になり、姪の由紀を尋ねてやってきた寅さん、
学生に調べてもらい、由紀が受講するであろう教室で待っているうちに眠ってしまう。
目を覚ますと、西洋近代史の講義が始まってしまっていた。
「ちょっと、そこの人、質問があれば手を上げて聞いて下さい」
「はい!、え~っと、はなっから全然わかんないんだけど・・・」
「はなって、どこのことですか?」
「悪いけど、頭からもういっぺんやってくんないかね」
「そもそも、インダストリアルレボリューションという用語は・・・」
「はい!!、その、それだよ、インドの通りゃんせっての、それわかんない」
「君、君は産業革命知らないんですか?」
「まるでわからない」
「あなたワットがねえ、蒸気機関を発明した事は知ってるでしょ?」
「蒸気機関って、あれワットが発明したの?嘘だよ~~!!
あのボンクラが蒸気機関発明した?冗談じゃないよ、ガスの栓ひねる事もできないんだよ、
まずだね、あいつが生まれる前から蒸気機関車ってのはポッポポッポ走ってたんだから、
冗談じゃない、笑っちゃうよ。先生の言ってんのあいつの事じゃないのか?」
「あなたは、ワットという友人がいるのですか?やっぱりイギリス人?」
「何言ってんだろうなあ、非常識だねえ、日本人に決まってるでしょ」
いつしか教室は、西洋近代史産業革命の講義から、寅さんによる、
ワット(第20作の島田良介)の恋愛に関する学説に移り、教室は笑いで包まれた。
<愛ひとつ、受けとめかねて、帰る道、長針短針重なる時刻>
寅さんは由紀から真知子の電話番号を聞き、電話をかける ←なかなかうまいぞ寅さん
「櫻、悪いけどな、100円玉細かくしたの、ちょっと貸してくれ、ちょっと電話してくる」
「電話ならうちにあるじゃない」
「あった?ああ、あったんだ、そうだ。でもほら、市外だから」
「この電話だってかかるわよ」
「かかるこれ?あっそう、これ柴又だけかなと思った。でもさ、かけると料金で迷惑掛けるから」
「どうせ私のお金でかけるんでしょ」
「お前ねえ!!俺が外に電話かけ行っちゃ悪い訳でもあんのかよ!!」
「わかったわ、私達に聞かれたくないんでしょ」
「いいよ!!じゃあ俺ここでかけるよ」
「どこに電話してんだい?」
「どこへ電話しようと俺の勝手だろ!!いちいちおばちゃんの許可もとめなきゃいけねえのか!!」
・・・こんな事になりつつかけたが、結局留守。そこに丁度電話がかかってくる
「はいくるまや、お団子は夕方は無い。」 ←スゲエ出かた(^^;
電話は真知子からだった。東京に来ているので柴又に伺いたいとの事だった。
大勢でやって来た真知子たち。次々紹介されて、こんがらがる寅さん、
満男にまで君は誰?とたずねてしまう、源公だけは何とか分かった。
柴又で楽しく過ごした真知子は帰りに駅で寅さんに言う
「寅さんと話してるとねぇ、何て言うのかな、私が一人の女だという事を思い出すの・・・」
<旅立って、行くのはいつも男にて、かっこよすぎる背中見ている>
あの老婆の容態が悪化し、うわ言のように寅さんに会いたいと言う。
車で駆けつけるが、間に合わなかった。
真知子は悲しみと自身の抱える終末医療に対する疑問に苦しんでいた。
寅さんの胸で泣いてしまう。
そんな真知子の悩みを肌で感じた寅さんは真知子の前から姿をけす
「いいか由紀ちゃん、おばさまは女だ、哀しいことや辛いことがあった時に
ちゃんと筋道を立てて、どうしたらいいかなと考えてくれる人が必要なんだよ」
「その人が寅さんじゃいけないの?」
「馬鹿な事言っちゃいけない、おばさまが聞いたら怒るよ」
「寅さん・・・好きなのね・・・おばちゃまが・・・」
「由紀ちゃんも、うんと恋をして、いい歌を作んな。あばよ」
男はつらいよ~寅次郎サラダ記念日
三十一文字で巧みに情景を描く短歌と
寅さんの生き様が、どこか相通ずるものがあるのかも知れない。
満男の、何の為に、勉強するのかという質問に
普通の人なら、いい学校へ行く為だとか、お前の為だとか
的外れな答えしか出来ないだろうが、寅さんはこう答える
「人間長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろ
そんな時に俺みたいに勉強してない奴は
振ったサイコロの目で決めるとか、
その時の気分で決めるよりしょうがないんだ
ところが、勉強した奴は、自分の頭できちんと筋道を立てて
こういう時はどうしたらいいかなと考えることが出来るんだ。
だからみんな大学行くんじゃねえか、そだろ。」
ところで、
今回から屋号がとらやからくるまやに変わった
これちょっと残念なので、もともと代々くるまやだったのを
おいちゃんが粋にもとの屋号に戻したと、私は考える事にしている。
本当の理由はあるが私が言うことではないのでひかえますが
ヒントはこの作品の中の御前様と櫻の会話にあります (^^;)
男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日
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コメント
渥美さんが「これ柴又だけかと思った」の時
倍賞さんちょっと笑ってましたよね。
渥美さんあのギャグ面白すぎー(^^)
小諸病院の院長先生と真知子先生やっぱり
いつか結婚するんでしょうか。
院長先生のあの真知子先生への説得、
ある意味で『愛の告白』に近いですもんね。
三十一文字で巧みに情景を描く短歌と
寅さんの生き様が、どこか相通ずるものがあるのかも知れない
・・・よく考えたら、全く無根拠な事を書いてますね僕。
だめだなやっぱ。でもなんとなくそんな感じがしたんです
寅さんの生き様というより、渥美さんの芸が、なのかなあ・・・
小諸病院の院長先生のような人を主治医にしいたいなあ
信州小諸。
寅ファンあこがれの地ですね
僕はまだ行ったことが無いので
記念館とか行きたいです
老後の楽しみにとっておこうかな。
RUUさんの
『三十一文字で巧みに情景を描く短歌と
寅さんの生き様が、どこか相通ずるものが
あるのかも知れない』
のお言葉は、僕はなるほどなあって感動しました。
寅って生き様が簡潔なんですよね。
よどみがない。
カバン一つ、身ひとつで、孤独の中
いつも一期一会の出逢いと別れを繰り返す。
余計な贅肉や垢がないんですよね。
まさにあの三十一文字の世界と相通じます。
渥美さんもそうですよね。
あの院長先生頼りがいありそうですよね。
あ、ちなみに僕も主治医さん決めてます。
リリーを勇気付け、心身ともに健康に
してくれた知念先生です(^^)
知念先生が忙しいときは
松村おいちゃん医者でもいいかな。
もちろん柴又のスケベ医者じゃなくて
奈良の吉野の方です。
あああ…!、耳鼻科か…あの人(- -;)
男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日
男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988/日本)
評価(お奨め度)★★☆☆☆
監督: 山田洋次
プロデューサー: 島津清
企画: 小林俊一
原作: 山田洋次/俵万智
脚本: 山田洋次/朝間義隆
撮影: 高羽哲夫
美術: 出川三男
編集: 石井巌
音楽: 山本直純
助監督: 五十嵐敬司
出演: 渥美清/倍賞千恵子/三田佳子/三田寛子/尾美としのり/前田吟/下絛正巳/三崎千恵子/太宰久雄…
映画評「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1988年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
何のために勉強するか、寅さん語る
「何のために勉強するのか?」 うまく説明する方法が、ネット上で話題になっているらしいです。
ちょうど、最近見た「フーテンの寅さん」で、寅さんが同じようなことを語っていました。
男はつらいよ~寅次郎サラダ記念日
浪人中で、悶々と暮らす甥の満男に、「
はじめまして。寅さん映画をきちんとまとめているすてきなブログですね。私のブログで、この映画の寅さんのセリフを紹介したくて、引用させていただきました。記事中で、ブログの紹介もさせていただいています。
お世話になりました。m(_ _)m
itibanさん
コメントありがとうございます
ブログを褒められて嬉しいです
引用だなんてとんでもないです
このブログ自体が映画の引用ですんで( ̄▽ ̄)