男はつらいよ~第1作

男はつらいよ

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「悲しい出来事を涙ながらに訴えるのは易しい。
また、悲しい事を真面目な顔で物語るのも
そう難しい事ではない。しかし、
悲しい事を笑いながら語るのは
とても困難なことである。
だが、この住み辛い世の中にあっては、
笑い話の形を借りてしか伝えられない
真実というものがある。
このシリーズは、男の辛さを、男が男らしく、
人間が人間らしく生きることが
この世にあっては如何に悲劇的な結末を
たどらざるを得ないかという事を、
笑いながら物語ろうとするものである。」
「男はつらいよシリーズ」についての
山田洋次監督の言葉だ。



車寅次郎は柴又帝釈天参道の団子屋とらやの主人、車平造とその妾、の子
中学生の時に庭で煙草を吸っているところを親父にみつかり
まきだっぽで頭を血と脳みそが出るまで殴られて、
大喧嘩の末、家を飛び出す。
あちこちを放浪し、北海道で出会った政吉親分のもとテキヤ家業に。
風の便りに父親も母親も兄も死んで、たった一人の妹、がのこり、
とらやと櫻が叔父夫婦に世話になっている事を聞き柴又に戻ってくる。
20年ぶりの兄、妹の再会だった。


櫻は美しく、家族思いで、芯の強い女性
丸の内の「オリエンタル電機」でキーパンチャーををするBG
当時最先端の女性だ。そんな彼女に見合いの話が来る
ところが当日、おいちゃんが二日酔い&ホテルに尻込み
変わりに寅さんが行くことに。
メチャクチャなテーブルマナーと下品な冗談と自分の身の上話で
一同唖然とさせ、見合いをぶち壊しにしてしまう。


とらやの裏は朝日印刷という印刷工場になっていて仲良く近所付き合いをしている
工場の主任技師、諏訪博は櫻に恋をし、自分の部屋から櫻の部屋をいつも見ていた。
昼休みにとらやの庭で若い工員達と櫻がギター弾きながら「スイカの名産地」を歌っている
この櫻がもう超カワイイ (*⌒∇⌒*)
そこに寅がきて工員達に気安いと怒り、
「櫻は大学出のサラリーマンと結婚させるんだ
テメエらみてえなナッパ服着た職工には高嶺の花だ!帰れ!!」

これに怒った博は寅と決闘する。
喧嘩しながらも博の櫻に対する真剣な気持に気付いた寅さんは
博に女心のつかみ方を教える、また櫻との仲を取り持つ事にする。
「あのなあ、ん~~んあの~ナニどう思う?」
「ナニって何?」
「ほらほらあの博とかいう職工よ」

「博さんがどうかしたの?」
「んんいや別にどうもしないけど・・・やっぱ無理だろうな・・・なんでもない」
これで何を伝え、何を確認できたかは定かではないが博に結果報告・・・( ̄~ ̄;)
「どうでした?」
パーだ」 ← 博の三年間の真剣な思いを託された使者の結果報告がこれ( ̄□ ̄;)
「パー!?」
「パーでイチコロだよありゃ諦めな、脈ねえから」
傷ついた博は工場をやめて出て行く、最後に櫻に思いを伝えて・・・
「僕の部屋から櫻さんの部屋の窓が見えるんだ
朝・・・あなたがカーテンを開けてあくびをしたり・・・
日曜日なんか楽しそうに歌を歌ったり・・・
冬の夜、本を読みながら泣いていたり・・・
あの・・・工場に来てから3年間・・・
毎朝あなたに会えるのが楽しみで、
それだけが楽しみでこの三年間を・・・
僕は出て行きますけど・・・櫻さん幸せになってください」

さくらは驚いて何があったのか寅に問い詰める
「何やったの?なに言ったの博さんに!!」
「櫻の事は諦めろって言ったんだよ嫌いなんだろ?返事つれなかったじゃねえか」
「そんな・・・馬鹿!!お兄ちゃんの馬鹿!!!」
櫻は走って博を追いかける、駅のホームで二人は見つめあう
そして二人電車にのる・・・
寅さんのアドバイスが効いているのか?博さんいい感じで目に物を言わせているぞ (* ̄∇ ̄*)
一方とらやでは寅さん皆に責められ大喧嘩、ついに出て行けとまで言われる
そこに櫻が戻ってきて
「お兄ちゃん・・・私博さんと結婚する。決めちゃったの・・・
いいでしょう、ねえ、お兄ちゃんいいでしょう。」

・・・この時の櫻さんの表情がすばらしい、最高の表情だ。
渥美清さんと同様、この倍賞千恵子さんがいないと「男はつらいよ」は成り立たないのだ。
博さんの告白も素晴らしい。あの電車に乗った後二人はどこでどう約束を交わしたのか
是非見たい情緒たっぷりのシーンだっただろうが
そっちじゃなくとらやでの大喧嘩の方を描いている。そのへんも「男はつらいよ」らしい。


寅さんは御前様の娘、坪内冬子に恋をしている
オートレースにあかちょうちんとデートをする
夜の参道で手を握ったりするふたり
もう寅は幸せの絶頂。
喧嘩辰を歌いながら踊り歩くほど。
だが冬子には婚約者がいたのだった。


第1作、男はつらいよ
めまぐるしく息をもつかせぬ名場面の連続
世界最高の映画シリーズの輝かしい傑作だ。


ところで、
20年ぶりに帰った寅さんがおばちゃんときつく抱きしめあうのがちょっとびっくり
あと兄妹喧嘩で寅が思いっきり櫻をひっぱたくのもびっくり
負けじと反撃に転ずる櫻にもびっくり
博は櫻の部屋見すぎ。櫻もカーテン閉めないと。


シリーズ最大級の謎は櫻の結婚式においちゃんが出席していないこと
さびしがったおいちゃん前の日のみすぎて二日酔いかな?
本当は当事、森川信さんのスケジュールがどうしても取れなかったのが真相
他の超大物役者さん達のスケジュールもあるし
なにより「男はつらいよ」が当事、低予算で始まったという事が垣間見える事実だ


ちなみに、櫻とお見合いする男はなんと、今では超有名ナレーター
「な~んて、言っちゃったりなんかして」でおなじみの広川太一郎さん。


最後に源・・・大洋の帽子をかぶれ・・・( ̄  ̄メ)






男はつらいよ〈シリーズ第1作〉



コメント

  1. 彰(あきら) より:

    あねさん女房のさくら。
    結婚のことを二人で決める
    電車の中&駅からとらやまでの道のりは
    完全にさくらペースだったのでしょうね
    いざと言う時はさくらは強くリードしますから(^^)

    博が団子を買いに来て、さくらが応対して…、
    ギターを弾きながら、工員たちと『スイカの名産地』
    歌っているさくら…。青春だなああ~。
    あんな綺麗なさくらは他の場面では
    いませんよほんと(* ̄∇ ̄*)

    RUUさん、今、横浜6-6の同点。
    粘ってますね!
    球場に応援に行ってるんですよね。

    早苗さんも、秀吉君も、看板屋のオヤジさんも、
    ふじ子さんのお子さんも応援しているはずです。






  2. RUU より:

    「無理よ・・・博さんの息子だもん」
    う~~んTHE姉さん女房
    ・・・ていうかうちもです ( ̄∇ ̄*)ゞ

    レフトスタンドにタコ社長と源がいましたよ

  3. 男はつらいよ(第1作)

    公開日・1969年8月27日 上映時間・1時間31分 観客動員数・54万3千人 主なロケ地・奈良・京都 マドンナ・光本幸子 <あらすじ> 中学の時に家出し、テキヤ稼業で全国を渡り歩く寅さんは、たった一人の妹・さくらが柴又のおいちゃん夫婦に世話になっている..

  4. 映画評「男はつらいよ」

    ☆☆☆☆(8点/10点満点中)
    1969年日本映画 監督・山田洋次
    ネタバレあり

  5. シネマの箱 より:

    男はつらいよ

    男はつらいよ(1969/日本)
    評価(お奨め度)★★★★★
    監督: 山田洋次
    製作: 上村力
    企画: 高島幸夫/小林俊一
    原作: 山田洋次
    脚本: 山田洋次/森崎東
    撮影: 高羽哲夫
    美術: 梅田千代夫
    編集: 石井巌
    作詞: 星野哲郎
    作曲: 山本直純
    音楽: 山本直純
    唄: 渥美清
    出演: 渥美清/倍賞千恵子/光本幸子/笠智衆/志村喬/森川信/前田吟/津坂匡章/佐藤蛾次郎/関敬六/三崎千恵子/太宰久雄/近江俊…

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