つねさん語録 №14

本名:車つね。
寅さんの叔母。我らがくるまやのおばちゃん。
キップはいいが、涙もろくて心配性。超がつくほど現実主義の彼女は
柴又の涙と笑いのポイントゲッター。

つねさん語録 №14

「男はつらいよ~寅次郎子守唄~」 (14)

佐賀県の呼子で、寅さんは、赤ん坊を連れた一人の男と知り合う。
その男は、頼りない感じで、少々軽薄な男だ。
聞けば、女房に赤ん坊を残して逃げられて、困り果てているのだと言う
寅さんは、気の毒に思い、宿で親切にしてあげた。
ところが、その男は親切にされたのをいい事に、
翌朝、置手紙と赤ん坊を残して逃げてしまった。
赤ん坊を押し付けられた寅さんは、とにもかくにも柴又にむかった。


寅さん、赤子を背負っての帰郷・・・
最初に発見したおばちゃんは、声もだせず、腰を抜かしてしまった
「寅さんに子供ができた」柴又中この話題でもちきりになるが
すぐに誤解とわかった。
押し付けられてひどい目にあったとはいえ、
子供には何の罪も無い。
おばちゃんは、一日中たっぷりとその子に愛情を注いでいた。
すっかり、赤ん坊に情が移っている様子だ。


数日後・・・
赤ん坊を押し付けた張本人の、軽薄な男がとらやにやって来た。
そこには、男の世話をしていた呼子港の踊り子の女性も一緒だった
男のしたことを聞き、この女性がとんでもない事だと、
必死になって探しまわって、とらやにたどり着いたのだ
男は赤ん坊を取り返そうとするが
赤ん坊を抱いたおばちゃんは、この男に渡そうとはしなかった・・・


「ちょちょ、ちょっと待て!そんなお前、そんな勝手な!」
「あなたには、あなたの事情があったかも知れませんけど、
この子が来た時、本当にかわいそうだったんですよ・・・」


「本当に、こんなかわいい子を・・・
よく犬や猫みたいに捨てられたもんですね!!!」



「お渡しするのはいいんですよ、でもねお父さん
二度とこの子、捨てたりしないでしょうね」

「そこだ!そこなんだよ俺の言いてえのは!!
どうなんだ!!え?!お兄さん!!」



その時、踊り子の女性は、たまらず赤ん坊を抱き上げていた・・・
「ぼうや・・・幸せじゃったんじゃねえ・・・
よかったねえ。おばちゃんね・・・もうお前、
どっかで死んじょるかと思っちょったよ・・・よかったねえ・・・よかったねえ」

その女性は、赤ん坊をいつまでも抱きしめ、涙を流していた・・・

結局、その女性が責任をもって面倒を見るという事で、
赤ん坊は引き渡した。


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父親を睨みつけるおばちゃん
あんなに怖い顔は初めてみた。
でもあの女性が信頼できる人だと分かったとたん
”手放す事になる”と察して、泣き出してしまった。

その夜、おばちゃんは、赤ん坊のおしめをたたみながら、
涙を止めることができなかった
どこの誰の子かも分からない赤ん坊でも
これほどおばちゃんは愛情を注ぐことができるほど
情愛の持ち主なのだ

ちなみに、
寅さんがこの子の面倒を見たのは、
ただ単に、押し付けられて、背負ってしまった訳では無い
寅さんがこの父子に親切にしたのは、
この赤ん坊が放って置けなかった理由があった。
”母親に捨てられた赤ん坊”それは自分を見ているようだったからだ。







コメント

  1. 小寅 より:

    赤ん坊を引き渡した後の
    おばちゃんの寂しげな様子は
    芝居には見えませんでした。

    子供のいないおばちゃんには
    ちょっと残酷過ぎますよね~

    それにしても、
    あの軽薄な父親で大丈夫なんでしょうか・・・?

  2. RUU より:

    小寅さん
    コメントありがとうございます
    14作はおばちゃんの物語でもありますね
    切ない作品でした

    あの軽薄な父親ではダメでしょうね
    本当に変わるとは思えません
    でも、踊り子の女性なら
    間違いないでしょう
    あの子も彼女のおかげで幸せになりますね

    それにしてもあのキャラ(踊り子)
    は順レギュラーになって欲しいほど
    光っていましたね
    1作品だけではもったいない (^_^)

  3. 彰(あきら) より:

    赤ん坊が帰ってしまって、
    夜、おばちゃんが泣きながら
    もう誰も使うことのないおしめをたたんでいて…。

    その頭上で、
    カランコロンと回りながら
    『♪ねんねんころりよおころりよ』のオルゴールつきの
    おもちゃがずっと鳴り続けますよね。

    満男が言います。
    「ばあば、泣いてんの?」

    あのシーンには僕もうるうるしちゃいました。

    この作品は
    『おばちゃんはつらいよ つねさんの子守唄』ですよね。

    春川ますみさんはあの作品のマドンナですね。
    こんなこと他ではあまり言えないけど…(^^;)
    やっぱり春川さんがマドンナですよ。
    内なる輝きとはあのような人の事をいうんですね。


  4. RUU より:

    彰さん
    コメントありがとうございます
    つい先日、ラジオ番組を聴いていたら
    素人の若い人が電話出演していまして
    パーソナリティの人が
    「好きな女性のタイプは?」
    と聞いたときに、その若者は
    「春川ますみさん」
    と答えたんです。驚きました
    若いのになかなか分かってるな~
    と変に感心しました。

    おばちゃんがたたんでいたおしめ
    今頃は諏訪泉ちゃんが使っていますよ

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