つねさん語録 №10

本名:車つね。
寅さんの叔母。我らがくるまやのおばちゃん。
キップはいいが、涙もろくて心配性。超がつくほど現実主義の彼女は
柴又の涙と笑いのポイントゲッター。

つねさん語録 №10

「男はつらいよ~寅次郎夢枕~」 (10)

寅さんが今回恋をしたのは、幼なじみの志村千代
千代は最近柴又に戻って、とらやの向かいに美容室「アイリス」を開店した。
櫻とも昔からの馴染みで、洋裁の仕事をしている櫻にワンピースを頼んでいた事で
寅と千代は再会し、そしてお互い恋をする事に・・・
そんな千代だか、心の中には人には言えぬ苦悩を抱えている、
何が原因か、夫とはだいぶ前に離婚していて、しかも子供の親権も千代にはないのだ。
しかし、ある日、千代の子供のさとしが遙々自転車で千代に会いにきた。
「よく電話かけてくれたわね、ママ、夢かと思った・・・大きくなったわね・・・」
二度と会えないと思っていた息子に、ほんのひと時会うことができた。
千代は嬉しさと、子供になにもしてやれない寂しさに、一人泣きはらした。
そんな千代の事情をしって、とらやでは・・・

「あのお店の女の子の話ではね、男の子の声で”ママ居ますか?”って
電話がかかってきたんだって、お千代さんが二言三言話したと思ったら
顔色変えて飛び出して行ってねえ、30分程したら、
目を真っ赤に泣き腫らして帰ってきたんだって・・・」


「かわいそうにねえ・・・
自分のおなかを痛めた子供に会えないなんて
どんなにつらいだろうねえ・・・」


「・・・よしっ!俺いってくる」
「何しに?」
「慰めにいくのよ」
「慰めるって・・・どうすんのよ」 
「どうするったって・・・
どう・・・どうしたらいいんだ?」
 ← とりあえず行ってあげようとするやさしい寅
「じゃあさあ、晩御飯にでも呼んであげたら?」 ← さすが櫻、最善の案
「馬鹿野郎!そんないい事知ってるんだったら何故はじめから言わねえんだよ!!」
「おばちゃん、今夜のうちのおかず何だ?」 
「お前の好きなお芋の煮っ転がし」 
「かぁ~~~貧しいなあうちのメニューは!!
もうちょっとなんかこう、心の豊かになるおかずは無いかい
例えば、厚揚げだとか筍の煮たんだとか」
 ← 確かに厚揚げは言えてる
「分かったよ、何とか都合するよ」
「頼むよ!!」


その日とらやに晩御飯に呼ばれた千代
子供の事を思い出させないようにと気を使う一同だが
博は母子の新聞記事ばかり紹介し
テレビをつければ母子のニュース
寅さんが歌を歌ってなんとかしようとするが、あわてて
カラスの子育てや、お馬の親子の様子を題材にした歌ばかり歌ってしまう
失敗ばかりしてしまったが、寅さんをはじめ、みんなの暖かい思いやりに感激し、
また涙する千代であった。 



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千代の抱える苦悩を思い、涙ぐむおばちゃん
「どんなにつらいだろうねえ・・・」
自分はとうとう子供が出来なかった
だからなのか、母と子供の絆には
人一倍やさしく、そして厳しいおばちゃん
これから後の作品にも、そんな場面は何度も登場します。
僕にはおばちゃんの気持は代弁できないですが
おばちゃんには、そんな一面もあるのです。


寅さんから、心の温まるメニューを発注された
おばちゃんがだした答えは・・・
”栗ごはん”でした、なるほどなるほど、さすがおばちゃんだ。




コメント

  1. 彰(あきら) より:

    「・・・よしっ!俺いってくる」
    千代さんの時も、歌子ちゃんの時も、ぼたんの時も
    綾さんの時も、寅はなにはともあれ、まず動きますよね。
    なんにもしてやれないかも分からないけど
    駆けて来て、そして寄り添うんですよね。
    人はその心にこそ救われるのだと思います。

    しかし、どうして千代さんが子供に会えないのでしょうか。
    それを許さない夫…、いったいどんな夫だったのでしょう…。
    あれから何十年もたった今、千代さんは、
    もう中年を迎えた息子さんやお孫さんたちと
    深い交流を持ち、幸せに暮らしていると思います。

    おばちゃんはこの世の中の喜怒哀楽の機微を
    本当によく分かっていますよね。おばちゃんの言う言葉は
    日本の庶民文化の粋ですよね。ちょっとした言葉に
    奥行きを感じます。
    こういうところが「男はつらいよ」の奥深い懐ですよね。

    ああ…厚揚げや筍の煮たの食べたい(^^;)

  2. RUU より:

    彰さん
    コメントありがとうございます
    そうなんです
    おばちゃんの言動は
    「男はつらいよ」の懐・・・
    そういった意味で僕は注目しているのです
    代弁してくださってありがとうございます
    ボキャ不足の僕は凄く助かります

    それにしても
    「機械」と発言した大臣さん
    つねさんにも謝ってほしいすね
    (▼▼メ)

  3. 小寅 より:

    「男はつらいよ」の懐
    いい例えですね~

    「自分のお腹を痛めた・・・」ってセリフ、
    子供のいなかったおばちゃんだからこそ
    尚更重みがありますね。

  4. RUU より:

    小寅さん
    コメントありがとうございます
    作家さんってすごいなあと
    今、つくづく思います
    自分の表現したい事を
    言葉や文章に出来る。
    凄い事ですよ~~
    僕もそんな風に言葉が出てくればなあ

    でも、おばちゃんに子供がいたら
    とらや一家は
    も~~~っと複雑な関係に・・・
    そのこがインテリだったりなんか
    したら大変ですよ ( ̄_ ̄ i)

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