男はつらいよ~旅と女と寅次郎~

男はつらいよ

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ひょんなことから演歌の女王「京はるみ」と逃避行。

新潟、演歌歌手の京はるみのコンサートが
急病の為中止になった。
急病というのは嘘で、京はるみは失踪していた。
関係者は大あわてで行方を捜していた。


「おじさんおじさん、向こうに見えるあの島、
あれなんて島だい?」

「あんた、佐渡ヵ島しらんか?」
「ああ!?あれが佐渡ヵ島か?
へえ~思ったよりでかい島だねありゃあ」

「日本一でかい島だっちゃ」
「佐渡って言やあ、金山で有名だけどさ、
どうだい!俺みてえなど素人が行ってね
ちょこちょこっと掻き出して、出てこねえかね金、ちょこっと」

「金山もうやめたっちゃ」
「やめたあ?!あ、もう看板かおい、どうだい!看板ぎりぎりに滑り込んで掻き出してさあ
残り物には福があるってんで、こんなやつがポコっと出てくる事ねえかい?へへへ」

「おもしれえ人だなあんた」
「船長、どこ行くんだいこの船は?」
「わしは佐渡にもどるっちゃ」
「佐渡行くの?じゃあ俺のせてってくれ、頼む!!な!」
「それはいいけど、こげな船のっと、時間かかっど」
「それはかまわねえよ、俺は暇だったら腐る程持ってるんだ、持ってないのは金だけだい
よし!!そうと決まったら渡りに船だ、へへ、これで行こうっと」

「あのう・・・私も乗せて行ってくれないかなあ?」
「じゃあ、姉ちゃんも佐渡いこうってのか?」
「うん・・・」
「すかす、こげなボロ船のったんじゃあ時間ばかかって、すかたねえべえ、なあ父ちゃん」
「フフフ、いいの、暇なら腐る程持ってる。持ってないのはお金だけ」
「へへへ、姉ちゃん俺とおんなじか。おい船頭さん、もう一人頼むわ!」
この乗り合わせた女性こそ、今世間を騒がせている、失踪中の演歌の女王「京はるみ」だった
気付いていないのは寅さんだけだった。


その日から、はるみと旅を続ける寅さん
佐渡の宿で酒を酌み交わす二人。
いくら寅さんでも、こんな超有名人と差し向かい、気付かない人なんている訳がない。
「・・・どっかで見た顔だなあ、オレとあった事なかった?」 ← お!やっと気付いたね寅
「会ってない・・・」
「あ!!思い出した!!去年、岐阜の千日劇場・・・」 ← うんうん、いい感じ
ドキっとするはるみ
「あそこの前でとうもろこし焼いてたろ、こうやって」 ← いました!気付かない人
「ううん、焼いてないよ」
「人間違いか?」
「そうよ、どこにでもある顔だもん。さあ!飲もう!おにいさん」
ほっとするはるみだった。
しかし寅さんは旅館のおばあさんから、彼女が演歌歌手の京はるみである事を聞かされる
だが寅さんは、気付かないフリをしたまま、はるみと旅を続ける
失恋し、傷心の旅をする者の気持がよく分かる男なのだ。
はるみは寅さんと旅をして、次第に心癒えていく。
そしてひとときの自由を心ゆくまで楽しむ。
寅さんはそんな、楽しそうに歌い歩くはるみを見ては、はるみの歌に引き込まれていった。


食堂で休んでいると、はるみの事務所の社長やマネージャーが追いかけてきた
はるみと寅の旅は終わりを告げようとしていた
「寅さん・・・私ね・・・」
「どうした?はるみちゃん」
「・・・最初から知ってたの?」
「いやほら、夕べのばあさんに教えられて・・・それまでは全然気が付かなかった
あんたみてえな有名人をよ・・・俺は馬鹿だよ」

「じゃあ、知らないフリしてくれてたのね」
「うん、まあ、その方がいいんじゃねえかと思ってな」
「そう・・・寅さんていい人だねえ」
「とっても楽しかった・・・寅さん。この旅の事、私一生忘れないよ」
別れがたい気持があふれ、寅の手を握るはるみ
「寅さん行きたくない」
「そりゃあ俺だって行かしたかねえよ、だけどそんな事したら
あんたの事を待ってる大勢のファンががっかりするよ」

「ねえ、これ持ってて、私の思い出に。ね!」
はるみは自分のはめていたエメラルドの指輪を外して寅さんに贈った
寅さんとはるみは短い旅の間ではあったが、まるで夢を見るかのように愛し合っていたのだ。


柴又に戻った寅さん。恋煩いはレベル6(櫻の顔も分からない程の危険な状態)
葛飾電器で東芝ウォーキーで京はるみのカセットを視聴する寅さんは
そのまま金も払わずに店から持ち出して。聞きながら街を徘徊
店の従業員はたまらずとらやに抗議の電話をかける
「はいはい、あ、葛飾電器さん何の用?え?寅ちゃんがお店の品物を?
黙って持ってった??あのねえ!!うちの寅はねえ!!、
そりゃいい加減な男ですけどね、人の道に外れるような事だけはしませんよ!!」

「親父出せ親父!俺が言ってやる!!
もしもし!!ああ俺だ、寅がどうしたってんだ!!何か証拠でもあるのか!!」

必死に寅をかばったおいちゃんおばちゃんだったが、
寅さんは店の物を勝手に持ち出した事すら分かっていない程もうろうとしていた。


ある日、寅さんを訪ねて、とらやに京はるみがやってくる
演歌の女王の出現に柴又中騒然となり、とらやには凄い人だかりができてしまう
はるみの目的は、自分のリサイタルのチケットを渡しに来たのと、もう一つ
心配を掛けた寅さんにその後の報告に来たのだ
はるみはあれから、失恋した彼とキチンと話し合い、もう一度やり直すことになったと言う。
「こんな事話したの、寅さんが始めてよ」
「大丈夫だよ、俺は誰にもしゃべらねえから」
「そうね、寅さん口が堅いもんね」
とらやの混乱を沈める為、はるみは一曲みなに披露する
いたたまれずに寅さんは旅にでるのだった
「櫻、リサイタルに行く時はな、一本でも二本でもいいから、綺麗な花を
俺からだと言って渡してやってくんねえか・・・」




男はつらいよ~旅と女と寅次郎~
名前も聞こうともせず、その傷心の彼女を見守り
素性を知っても、知らぬフリ
その人が幸せになると、黙ってひとり旅に出て行く
旅先での夢のような恋だったが。
本当に夢を見せてもらったのは、大スターの京はるみの方なのである




ところで、
冒頭と終盤にとらやに生命保険の勧誘のおばちゃんが登場するが
この人は当事の日本生命のCMに実際に出演した
本物の「ニッセイのおばちゃん」です w( ̄o ̄)w


タコ社長に秘書が出来ました
「後のスケジュールは?」
「別にありませんけど、奥さんが帰りに油揚げ2枚買ってきて下さいって」 ・・・( ̄  ̄;)


京はるみはリサイタルでのMCで
「今頃寅さんはどこにいるのかしら・・・」
と言うんでお答えしますと
羊蹄夏祭の会場で「おしゃまんべの熊」をからかったもんだから大喧嘩になってます




男はつらいよ 旅と女と寅次郎

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コメント

  1. 彰(あきら) より:

    ♪今度の祭りにゃ帰ります。
    千代ちゃん待っててくれるかな
    日生のおばちゃん
    自転車で
    笑顔を運んでいるだろなー。

    日生のおばちゃん
    今日もまた
    笑顔を運ぶふるさとよ
    ふーるーさァーとーよー♪

    だったっけなあ…。
    あの歌、何番もあるんですよね。
    懐かしい(TT)

    中北千枝子さんは黒澤映画などで活躍された名優さんですよね。

    それにしても源ちゃん、ちゃっかり京はるみさんと2ショット写真成功。
    工場のゆかりちゃんがシャッターをすばやく押していました(^^)
    とらやの庭にあんなに外から人が直接入れるなんて!

    渥美さんのとうもろこし焼く手つきさすがでした。
    あのシーン予告編も面白いんですよね。

    この第31作は予告編もテンポがあって大好きです。

    さくらはあのエメラルドの指輪どうしたんでしょうね。

    そういえば…
    加納作次郎の茶碗も今どこにあるのかなあ。。。。

    茶碗は神戸の美術館に寄付。
    指輪は大切にさくらがとらやに保管。
    っていうところでしょうか。

  2. RUU より:

    あああ!
    あの人、女優さんだったんですか!
    私、本当に日本生命の社員だと
    子供の頃から思っていました

  3. 映画評「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」

    ☆☆☆(6点/10点満点中)
    1983年日本映画 監督・山田洋次
    ネタバレあり

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