本名:車つね。
寅さんの叔母。我らがくるまやのおばちゃん。
キップはいいが、涙もろくて心配性。超がつくほど現実主義の彼女は
柴又の涙と笑いのポイントゲッター。
つねさん語録 №5
「男はつらいよ~望郷篇~」 (5)
北海道の政吉親分の孤独な死
政吉親分の息子の汗だくで地道に働く姿
汗と油にまみれて働く事の尊さを説いた、櫻の心からの説教
そんな事を目の当たりにした寅さんは
ついに地道な暮らしをする決心をする
働き口は探すのだが、それには条件があった
”汗水たらして、油まみれになる仕事”だ
くるまやでは緊急会議。寅さんに会う仕事をさがすのだった。
「ねえ、おじちゃん達も黙ってないで相談のってよ」
「だからねえ、考えてるよ、しかしねえいざ地道に暮らすにゃ
どうすりゃいいかと言われてもなあ、これなかなか難しいぜ」
「とにかくお兄ちゃんはテキヤ以外やった事無いんだからね
私ね、何でも最初からやる気じゃなきゃダメよって言ってあんのよ」 ← 子供か?
「やっぱ何じゃないかい、寅さんは客商売が向いてんじゃないかねえ」
「そうだ!いつか福寿司さんで若い衆がいなくなって困って・・・
御寿司屋さんなんていいじゃない!粋でさあ!!」
「ほんとだ!」
「櫻!お前らしくないなあ。粋だとかいなせってのは
今までの俺の事を言うんだよ。そんなものが地道な暮らしとは俺思えねえな」
「あ、そうか・・・」
「寅さん、やっぱり家の商売手伝ったらどうだい、一番気心も知れてるし」
「ダメだね」
「どうして?」
「俺は何遍も言うように額に汗して、油まみれになって働きたいんだよ
この店で働いてそうなりますか?おじさん、おばさん、あなた方二人
汗水たらして働いてますか?その位の理屈は解るでしょ?」
「それは物の例えなんだけどねえ・・・」
「あったよ櫻、天婦羅屋!あれならおめえ、暑いし汗も出るし」
「確かに油まみれになるわねえ!」
「よかったねえ寅さん、それに決めちゃいなよ」
「ダメだね」
「何故?」
「天婦羅きらいだ。」
「だっておめえ食うんじゃねえぜ」
「いや理屈じゃないの。嫌いなもんは嫌いなんだよ」
「・・・」
「よう!何かもっと他にいい考えないかよ櫻」
「困ったわねえ・・・例えばどんな仕事したいの?」
「だからお前に言われた通りさ、額に汗して、油まみれになって働きたいって
俺は言ってるんだよ。そうだろ、別に難しい事じゃねえじゃねえかよ」
「だから例えばどんな?」
「早え話がさ、汽車のかまたきとかよ。」
「汽車のかまたき?」
「例えばだよ」
「は!丁度いいのがあるよ!これならピッタリだよ。ほら、菊の湯さん
あそこのかまたきのおじさん辞めたがってんだよ」
「なるほど!風呂屋のかまたきか、こりゃ暑くて汗が出るぜ。え、どうだい寅さん」
「ダメだよ、ありゃ地道な暮らしとは言えねえよ」
「どうしてよ?地道よ、あんな地道な仕事無いわよ」
「お前も考えが浅いねえ、かまだけ炊いてりゃいいよ?風呂屋にいりゃあな、
暇な時はさんすけの真似事もしなきゃならねえんだ。
男湯ばっかりじゃねえぜ、女湯だってあるんだ。な?
ババアや子供ばっかりじゃないよ、たまにゃあ30過ぎの女ざかりの
粋な芸者だって来るかもしれねえじゃねえか、それの肩なんか揉んでりゃさ
つい調子に乗って唄の一つも出らあな、~包丁一本、サラシに巻いて♪~
”あらぁ寅さんいい声ねえ、明日お約束あるの?ねえ、この色男”
”痛てててて!痣になっちゃうじゃねえかおめえ”
って、こんな事が地道な暮らしって言えるかよ!!」 ← これは一理あるかも
「何もそんな事まで考えなくたっていいじゃねえか」
「そうはいかねえよ一生の問題だぜ。真面目に考えてくれよ、俺は真剣なんだからな」
結局、寅さんはタコ社長の朝日印刷で働くが、一日も持たずくび
リストにあがった福寿司、天婦羅の大和家、も面接に行くが門前払い
最後の菊の湯でも断わられ、ついにキレて菊の湯の主人の首を絞めてしまった
ふてくされた寅さんは矢切の渡しでふて寝をしてるうちに浦安に流れ着くのだった。
・・・っていうか寅さん正当なくるまやの跡取りなので、
くるまやで働く以外道はないんですけど ( ̄~ ̄;)
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おばちゃんはどうも、
こういった、打ち合わせが大の苦手!!
たいていの場合、大した意見も出ずそわそわするだけ
そして、いつもそんな打ち合わせを
チャッチャと終わらそう終わらそうとする!!
寅さんは人に言われた事に意外と左右される人
それも、自分の気に入ったフレーズに固執する ← 博の言葉なんかメモしたりする
今回も櫻の言った”額に汗して、油まみれ”という言葉が気に入ったらしい
そんな理想を掲げ振り回す寅さんが
とっても理解出来ないのがこのおばちゃん
アイデアなんかよりも現実的な問題で頭がいっぱいのおばちゃんでした
コメント
第5作のおいちゃんやおばちゃんは、はっきり
寅を邪魔者扱いしている部分も見え隠れしてますよね。
初期の頃の寅ってかなりやんちゃで理不尽なことも
次々にやってのけますもんね(^^;)
政吉親分の葬式に行こうとする寅に対して陰で
ひそひそ…
おいちゃん「ひょっとしたら出かけるかも知れぞ」
おばちゃん「これで出てってくれるんだったら
そのほうがありがたいよねえ」
後期作品群には出てこない、なかなかのりアリティでした(^^)
ところで、天ぷら嫌いだから天ぷら屋に勤めたくない
と言い切った寅の気持ちは僕にはなんだか分かるんです。
食べたくない物を作る気にはなれませんもんね~(^^;)
そのわりには第18作で大口開けてでかい天ぷら食べようと
してましたけど…。どっちやねん(^^)
彰さん
第5作はなんだか櫻の方が
女将さんっぽかった
寅に対する口ぶりとか
おいちゃんおばちゃんを仕切っていたり
意外な一面でした。
櫻おかみの大活躍の作品でした
おばちゃん=超、現実的ですよ
超現実ではないですよ
超、現実的ということですよ
サルバドールダリのような
超現実ではないですよ
・・・わかるっちゅうねん
男はつらいよ~望郷篇~
寅さん、地道な労働に目覚める。