男はつらいよ~続・男はつらいよ~

男はつらいよ

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恩師、散歩先生とその娘、夏子との再会。

バイに向う途中、柴又に立ち寄る寅さん。
本人は10年ぶりの帰郷
のつもりですが実際は1年ぶり (* ̄m ̄)プッ

そこで見たのは最愛の妹、櫻の愛息子、満男。
「寅さん、あんたの甥だよ、抱いておやりよ」
「おめえに似てるって評判なんだぜ」
「そうか、おめえ俺に似てるのか・・・ええ?」
感動で一杯の帰郷だった。
おいちゃんも酒の支度をしようとするが・・・
「せっかくだけどな、俺はあんまり長居はできねえんだ」
「おいおい冗談じゃねえ、今来たばかりじゃねえかよ」
「止めねえでくれよ、ゆっくりしてえのは山々だけども
実のところ俺は旅の途中よ、な~にほんの一寸寄ってみたまでの事さ」

「でもなにも今すぐ行かなくてもいいんでしょ?
狭いけど私の家にも泊まって行ってよ、ね?」

「ありがとうよ、俺はおめえのその元気な姿見ただけで結構」
「何も遠慮なんかする事ないんだよ、いいじゃないか一晩くらい泊まっていったって」
「頼むよ、もう止めねえでくれよ」
「とにかくな、奥で茶一杯、そのくれえならいいだろ?」
「それがいけねえのよ。一杯が二杯になり三杯になる
団子が出るか、また茶を飲むか、そのうち酒になるじゃねえか
俺は一杯や二杯じゃすまねえぜ。気がついた頃にゃお銚子がズラッと並ぶんだ
さあ、もう腰がたたねえや。いっその事泊まっていくか、
烏カアと鳴いて朝になる。”おはよう!またお茶を下さい”二杯が三杯になる、
団子が出るか、酒を飲むよ。どうする?俺ぁ旅に行けなくなるじゃねえか」

「何もそこまで考える事ねえじゃねえか」
「惜しまれて、ひき止められるうちが花よ」
「お兄ちゃん!どうしても行っちゃうの?」
「おめえ達にはわからねえがな、これが渡世人のつれえところよ」
皆が引き止めるのを振り切り、また旅に出る寅さんだった。

その道すがら、中学校の恩師、坪内散歩先生と20年ぶりに再会した。
寅次郎は中学時代、ろくに勉強もせず、校長先生を殴る程の問題児だったが
この散歩先生だけは寅次郎を見捨てず、何度も諦めずに叱りつけ親身に指導した
だが、その思いも寅次郎には通じず、叱られた腹いせに、
散歩先生の娘、夏子を”鼻ったれ娘”と言っていじめていた。
そんな先生と夏子に再会。お茶一杯のつもりが酒になってしまった。 ← 商売はよ?
ところが寅は、食べつけないご馳走を食べたので、はらいたを起こし入院してしまう
寅さんの症状は”胃痙攣”だが一晩で快復。翌朝には病室の患者を集め
何故か病室の皆に、”バイの際のサクラのノウハウ”を講義
患者さんたちを笑わせて大騒ぎする。 ← 先生、術後間もない患者は寅とは離して下さい
「すこし静かにしなさい。ここどこだと思ってるんだ」
「どこだと思ってるって、おめえさんどこ勤めてるんだい、火葬場じゃねえだろ?」
「・・・」
「テメエだな!夕べ俺の横っ面張りやがったのは?!」
「そうだ、あの場合仕方が無かった。そうでもしなきゃ
君は注射を打たせなかったからね。」
 ← 子供か?
「ほう・・・テメエさしずめインテリだな?あそうか、
そのインテリが暴力を振るった訳だ、へえ~
田へしたもんだ蛙の小便、見上げたもんだ屋根屋の褌だよ」
 ← 最悪の患者
「僕が医者じゃなかったら、表へ出ろと言いたいところだ」
「おう?いい事言うじゃねえか!上等だよ。君は僕に喧嘩を売ろうというのか!」
そこに夏子が見舞いにやってきて、寅の病状は急変
「痛たたたた・・・」
「寅ちゃん。具合どう?」
「ええ、まだちょっと・・・」
「大した事はないはずです。今まで大声で騒いでたんですから」
「でも、いま急に痛みだしたんですよ、先生・・・」 ← そうだよ急変は一応診察しなきゃ
夏子に看病してもらいたい寅さん、惚れていたのだった。 
それからも病院でやりたい放題、ついには抜け出してしまい
お金も無いのに飲み屋で登と一杯。無銭飲食で警察の厄介になる
寅は恥かしさで、散歩先生に挨拶をして、ひっそりと旅に出るのだった。
「寅、人生相見ズ、動ムスレバ参ト商ノ如シだなあ」
「おっしゃる通りです、そこが渡世人のつれえとこでござんす」
”再会するという事は難しい事”というのは、寅さんには、あてはまりませんけどね。



散歩先生と夏子は二人、京都を旅行する
そこでバッタリと商売の旅の寅と再び再会し皆で食事をする
”人並み以上の体と人並みに近い頭を持っている”と評して
正業に就かせようとする散歩先生。
京都あたりでグズグズしている理由を聞くと、母の存在が係わっていた。
車寅次郎は父、車平造が、芸者のに生ませた妾の子
その菊も寅を生んだっきり、何かの事情で寅を手放して行方は分からないでいた
だが、この京都で旅館の経営をしているという事を耳にした寅さんは
母の面影を追い、京都にいるのだという。
「まあ、別に会ったって、何てこたぁないしねえ」
「何言ってるの寅ちゃん、すぐに会ってらっしゃい、会いたいでしょ!!」
「でも俺の事捨てたお袋だからねえ、向こうで会いたがっているかどうか、
あっしはヤクザな男だし、お袋は迷惑なんじゃねえかな・・・」

「でも、血を分けた親子なんでしょう?」
「血を分けたって言ったってねえ、何にも覚えちゃいねえんですからねえ
お互いに顔見合わせて”ああ、あなたがおっかあかい”そんな所だよね先生」

「ネバーネバー!!それは絶対に違うぞ!!!
寅、これは大事な事だから、よーく聞けよ。老病死別と言ってな
人間には4つの悲しみがある。その中で最も悲しいのは死だぞ
お前のお袋もいつかは死ぬ、死んでしまったらどうする、
その時になったら遅いんだぞ、後悔しても取り返しがつかんのだ。そうだろ!寅!」

寅さんと夏子はすぐに菊に会いにいった。
一言「お母さん」と呼びたい一心だった。
「グランドホテル」という連れ込み旅館についた、
そこにはしとやかな女中と、がめつい女将がいた。
寅はしとやかな女中のお澄に、思い切って声を掛けた・・・
「人違いだったら、ごめんなさいよ。この顔に見覚えないかい・・・」
「・・・さあ、すんまへんな、年取って物覚え悪うなって。」
「そんな筈はねえ、そんな筈はねえよ、これだけは覚えてるはずだよ。
頼むよ、俺だよ思い出してくれよ。俺、一目見てわかったもんな
38年間1日だって忘れた事ありゃしねえよ、俺は死ぬまでに一度でいい
口に出してあんたの事呼んでみたかったんだ・・・おっかさん!!
あんたの倅の、寅次郎だよ・・・」
 そこにがめつい女将が来る。
「ちょっとちょっと!何してんねんなあんたもう~」
「うるせえ!黙ってろクソババア!!」
「クソババアとはなんやねん!!何言うてけつかんねんほんま(怒)」
「ごめんなさい、この人親子なの、30年ぶりにあったとこなのよ」
「親子?へえ~お澄さん、あんた子あったん?」
「いいえ、おまへん」
「嘘だよ、そんな事嘘だよ、どうして名乗ってくれねえんだい?おっかさん
お澄なんて仮の名だよ、あんたの本当の名は菊って言うんだよ」

「お菊はんは、この人どす」
「そうや、わてや、何ぞ用事か?グランドホテルのお菊はわてやがな、
おまはんらに妙なイチャモンつけられる事はないで!」

「そうじゃないのよ、おばさん昔東京にいた事ありません?」
「ああ、東京におった事あるよ、葛飾で芸者しとったさかいな」
「その頃、男の子産んだでしょ?」
「え!?・・・何であんた知ってんねん?」
「この人ねえ・・・寅次郎さんなのよ」
「えッ?!・・・ふ~ん、で今頃何の用事やねん、ああ銭か?銭あかんでそんなもん」
「おばさん!!何て事言うの、生みの親に会いたくてそれだけで来たのよ」
「本当かいな?そうやったん、そりゃえらい悪い事言うたな、ごめんな」
「帰ろう・・・お嬢さん」
「何やの、すねた顔して、死んだ親父と同じ顔して、どやねんそれ?見た所
堅気ではなさそうなな、こんな素人娘騙しこんで、そんな所まで親父そっくりか?」

「馬鹿野郎!!何て事言いやがるんだ!!
さっきから言いたい放題ごたく並べやがって
テメエなんかどっか消えてなくなれ、この狸ババア!!」

「何ぃ!!ようそんな事が言えるな生みの親に向って!!」
「テメエが生みの親ぁ?誰がテメエに生んでくれって頼んだ!!
俺はテメエなんかに生んで貰いたか無かったい!!ひりっぱなしにしやがって!!!」

「ひりっぱなし?ひりっぱなしとはよう言うたな」
「テメエ俺を捨てたんじゃねえか!!」
「やかましいやい!!アホ!!お前に親の気持が分かるか!!
自分の子を喜んでほうる親がどこにおるんじゃ!!
何も知らんと好き放題いいやがってこの馬鹿野郎出て行け!!!」

「畜生!!テメエが生みの親じゃなかったらブン殴ってやるんだ!!」
「おう!!やって貰おうかい!!やれや!!」
寅さんと菊の再会は、こんな最悪な結果になってしまった。
”この世は悲しい”そういうと散歩先生は寅と二人声を上げて泣いた。
実は散歩先生も自分の母親の顔を知らないのだ。
一方、寅を捨てたのは、もう一生会わない覚悟があっての事だったのだろう
涙ぐむ菊の横には、菊の思いで飾ったであろう
子供を抱いている女性が描かれたステンドグラスが光輝いていた。


そんな寅の傷心の帰郷
皆でお母さんの事を思い出させないように
その手の言葉を使わないよう気を使うとらやの皆さん。 ← 無理、逆に出まくり
寅さんは、傷付いたものの、恋は別。ますます夏子に夢中
ところが、寅さんを診察したあの医師の藤村と夏子はいい仲になっていて
後々その事を目の前で見せ付けられて、惨い失恋をしてしまうのです。


ある日、散歩先生が寅に相談事があると言う
聞けば、先生が子供の頃に食べたような天然うなぎが忘れられない
どうしても食べたいので、江戸川で釣って欲しいというのだ。
このご時世に江戸川でうなぎは釣れる訳が無いが、
先生がダダをこねるので嫌とは言えず、寒い中、毎日江戸川で釣り糸をたれる寅さん
「もういいのよ、釣れっこ無いわよ」
「でも・・・」
「じゃあこうしたら?丸甚さんで生きたうなぎ買うのよ、
それで今、江戸川で釣ってきましたって・・・」

そんな嘘を提案する夏子。寅さんは怖い顔で夏子をにらみつける・・・
”恩師に対してそんな裏切りを出来る筈が無い”と言うかと思いきや出た言葉がこれ
「そんな事知ってるんだったら、どうして早く教えてくれなかったんですよ!!
そうなんだよ、いくら物知りの先生だってさ、江戸川のと浜名湖のうなぎの面
見分けが付く訳ねえもんな、それ知ってりゃこんな苦労する事なかったんだよな~」

引き揚げようとしたその時、なんと奇跡的にうなぎがヒット
釣り上げたうなぎをもって急いで先生のもとへともっていったのだが
先生は椅子に座ったまま、亡くなってしまっていた
自分の体の事を分かっていたのだろう、天然うなぎは、この世での最後の願いだったのだ



男はつらいよ~続・男はつらいよ~
老病死別、人間の悲しみを身をもって寅に教えた散歩先生
”死んでからでは遅い”そんな教えを、寅さんは胸に刻み込んだのだ
数日後、京都の三条大橋には、寅さんと母、菊が仲むつまじく歩く姿があった。





ところで、
冒頭、寅さんは屁で観客のご機嫌を伺います。


この頃の寅さんは、お茶の間で自分の身の上話で一同をしんみりさせると
決まってションベンだと言い便所に行く


そしてそして、この頃の寅さんは恋に夢中になると町を歌い歩きます
「お味噌な~ら~、ハナマルキ!おか~~さ~~~ん♪」



おばちゃん、寅の悲しみそっちのけで
夏子の結婚相手の医者の藤村にうっとりです ( ̄~ ̄;)











コメント

  1. 彰(あきら) より:

    うーん…、あのステンドグラスは
    菊さんが自分の気持ちを込めて作らていたんですね。
    なるほどです(--)

    夏子さんは僕の大好きなマドンナです。
    この長いシリーズで寅のために泣いてくれたマドンナは
    夏子さんだけです。そして寅のために必死で
    忠告してくれたのもリリーと夏子さんだけです。
    寅に何かを与えたマドンナなんですね。

    そしてラスト三条大橋で寅を見つめる優しい目。
    『お父さん、寅ちゃんは、お母さんに会っていたのよ。
    そうなのよ、やっぱりそうだったのよ。お父さん。
    お父さんがどんな顔をするか見てみたいわ。
    でも…もう、そのお父さんはいないのね…』
    このラストは、日本映画史上に残る名ラストシーン
    だと言えば笑われるでしょうか。
    ああ、散歩先生はほんと偉大です。

    それにしてもさくらァ。
    寅が無銭飲食で捕まったときに
    下着と団子持ってきますが、なぜ団子???
    寅嫌いだし…。
    たぶんさくらはこう言うでしょう。
    「だって家に売るほどあるんですものぉ~」
    チャンチャン(^^;)

  2. RUU より:

    彰さん、
    コメントありがとうございます

    ステンドグラス
    聖母マリア様ですよね
    ”菊の思い”というのは
    私の身勝手解釈で~す
    考えすぎでしょうね~

    散歩先生、
    寅にもういちど母に会いに行かせる為
    死んでからでは遅いと分からせる為
    身をもって教えようと
    うなぎ釣りを発注した・・・
    私の身勝手解釈で~す
    考えすぎでしょうね~

    でもいいですよね、
    映画はその人その人に感じることがある!!


    夏子さんの行動はなかなか
    できることじゃないですね
    凄い女性です 

    やっぱりこの作品は
    うなぎ買えと言われた後の
    寅のリアクションが最高です
    吉本新喜劇ならずっこけてる所です

    嵐山の寅と菊の後ろ姿が
    この作品のベストショットだな~僕は

  3. 小寅 より:

    RUUさん、新年おめでとうございます。
    本年もよろしくお願いします!

    私もこの作品の三条大橋でのラスト・シーンは
    大好きです。
    う~ん、ステンドグラスは全く気付きませんでした
    まだまだ修行が足りませんね・・・

    夏子さんの、お菊さんを唸らせる積極的(?)な行動、
    そして鏡好き(?)には笑わせてもらいました♪

  4. RUU より:

    九州からお戻りの小寅さん
    コメントありがとうございます

    お菊さんやくがミヤコ蝶々さんで
    ホントに良かったと思いますね
    素晴らしいキレでした

    「鏡はお好きどすか?」
    「はい・・・いいえ!」
    いいですねえ
    聞いてどうする?と思いましたけど

    九州のロケ地、楽しみにしております

  5. RUU より:

    んん???
    三条大橋????
    ってことは、嵐山ではないんですか?
    すみません、僕は
    京都、橋 イコール
    嵐山 度月橋 と思っちゃうので・・・
    もういちど調べて訂正しますね

    ああ、頭の悪さが出てしまった~

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