寅さんと、幼馴染の千代との、切ない恋物語
志村千代は寅さんや櫻の幼馴染み。
夫と離婚し、とらやの近くで美容室「アイリス」を開店したばかり
洋裁の事で櫻に会いにちょくちょくとらやに来ていた。
また、とらやの2階には御前様の甥で
大学助教授の岡倉金之助という超インテリが下宿していた
おいちゃんにある予感がよぎる「櫻、えれえ事になるぞこりゃあ」
悪いけどこういう時にあの人は帰ってきます。
「しかしなんだな、なんかお見かけしない人が居るんじゃねえかい?
さっきから沢庵ポリポリ噛んでっけど、どこのどなたなんだ?」
櫻達が紹介するが、岡倉先生は「あーどーも」 ←相手が寅以外でも×
「ほう、大学の岡倉さん、じゃさしずめインテリだあ、そりゃ結構」
寅さんは気に入らず、皆を地獄の鬼呼ばわり。
「二度とこの家には帰ってこないよ、馬車引きでもして地道に暮らすよ」
ちょうどその時、千代がやってくる。幼馴染の二人は再会を喜び合う。
そして寅は綺麗になった千代に恋をするのだった。
千代には離婚に関して、子供のさとしを手放さなければならない程の
人に言えない苦悩があるのだが
とらやの人々の暖かい思いやりを受け、
また、寅さんの面白い冗談を聞いているうちに
次第に心の中が晴れやかになっていった。
千代もまた、寅にひかれていく。
ところがもう一人、千代に一目惚れした人間がいた、
岡倉先生だ。寅さんと源公はその事を一発で見破り、彼をからかいまくる。
先生の恋煩いはレベル7(上司への書類に女の名を列記する程の危険な状態)
「どうしたんだよ、若先生、この手の病気はな、気分からきてるんだ、気分。
な!♪お医者様で~も、草津ーのー湯でも♪って言うだろ?」
「そんな変な目つきはよしてください。
いったい、いつ僕がお千代さんに恋をしたというんですか?」
「あ!ほら、何も聞かないうちに全部白状しちゃったじゃないか、そうだろ?」
「君は、今までに恋をしたことがありますか?」
「さあ、…ねえ…、あるんじゃないの、そういうことは…」
「それなら、今の僕の気持が分かってもらえるかもしれませんね
僕はね、今までに恋を研究した事がないもんだから、よく分からないんですよ」
「どうもインテリの言うことは大袈裟でいけないよ
自分でお千代坊に話をすりゃいいじゃねえか、それでスミだよ」
「それが可能なくらいなら・・・恋をする男の気持という物はですよ、寅さん、そんなものじゃない
頭の中はその人の事ばかり、何を見てもお千代さんの顔に見えてくる
君の顔だって・・・だんだん角が取れて、瞳がつぶらになってきて・・・」
「らっきょみたいになっちゃうの?」
「らっきょ?らっきょとは何の事です」
「お千代坊だよ、そっくりだろ?ははは」
「よくもあんな美しい人をらっきょだなんて!そういう君はなんだ!え!
三角フラスコみたいな面しやがって!そうでなきゃプラカードだ!!!」
「なんか言ったな?さしあたり俺の面の事言ったな、おう上等だよ!
テメエなんだい!夏の日のドブ板じゃねえけどもな、反り返ってるじゃねえか!
しゃくれてりゃいいってもんじゃないんだよ!!え!!裏ひっくり返したら
ミミズがのたくってんだろう!ざまみろってんだこの野郎!!!」
「ナンセンス!!!」
「なんでんしょん???何言ってるか分かんないんだよお前は!!!」
岡倉先生は泣きながら寅に掴みかかる・・・
寅は岡倉先生を哀れに思い、一肌脱いでやる事にする。
自分の千代への思いを、心の中に閉じ込めて・・・
亀戸天神、寅は話があると千代と会う
ところがなかなか言い出せないのでとりあえず4時間歌を歌う
「ええ~と、おおかた察しはついてるだろう、お千代坊は勘がいいから、え?」
「それは、まあ・・・なんとなく・・・」
「まあ、お千代坊もさ、いつまで一人でいられる訳じゃないんだし
あまりパッとした相手じゃないけどさ、このあたりで手を打ったほうが
いいんじゃねえかな・・・どうかね?」
「ふふ・・・ずいぶん乱暴なプロポーズね寅ちゃん」
「じゃ、いいんだな」
・・・千代はうなずく・・・寅次郎からのプロポーズだと思っている。
千代は、寅次郎がどういう職業で、どんな人間であるか、
近所でどういう評判の人間かなど、当然分かっている。
そんなことは百も承知の上で車寅次郎と結婚をしようとする。
「決まったようなもんだ。あいつに電話で知らせてやるか・・・」
「ちょっと寅ちゃん?あいつって誰のこと???」
「決まってるじゃないか、うちの2階のインテリだよ」
「岡倉先生?・・・私、勘違いしてた・・・」
「勘違いって誰と?」
「・・・寅ちゃんと・・・」
「私ね、寅ちゃんと一緒にいるとなんだか気持ちがホッとするの。
寅ちゃんと話をしてると、ああ私は生きているんだなぁーって、
そんな楽しい気持ちになるの。寅ちゃんとなら一緒に暮らしてもいいって、
フッとそう思ったんだけど…」
寅からじゃないと知り、千代は逆に寅に思いを打ち明けるのだった。
だが寅さんは・・・
千代の自分に対する真剣な気持にびっくりした・・・のと、
岡倉先生のキューピット役だった・・・とか、
自分は股旅ガラスの渡世人だから相応しくない・・・はたまた、
寅さん自身に結婚に対する覚悟が全く無い・・・などなど
そんなこんなで寅さんパニクる。
結局、亀戸天神で腰抜かしてしまう
「うそよ・・やっぱり冗談よ」
と千代に言わせてしまうのだった(ーー;)
寅は旅に出るのだった。
とらやで千代は言う
「私、寅ちゃんとだったらいいわ、でもダメね、ふられちゃったから・・・」
皆は冗談だと思って笑う。
「冗談じゃないのよ」
そういう千代を見て櫻は、
千代と寅の間で何があったのかピンと来ている。
・・・なんでそこでリリーの時のように
一歩踏み込んだ大胆な行動をとってくれなかったんだね櫻さん!
櫻さんがもう一度取りまとめれば何とかなったかも・・・
そして寅さんはとらやの主人として、
また千代の美容室の亭主としてずーーと柴又界隈で
生活をしてくれたかも。
地道な仕事は大変だろうけど
柴又の遊軍、源ちゃんもいる事だし大丈夫さ。
リリーと暮らす寅さんを想像するのも楽しいけど
千代と所帯を持って柴又で暮らす寅さんを想像するだけで
本当に幸せな気持になれるのです。
男はつらいよ~寅次郎夢枕
寅次郎と結婚しようとした千代
その思いを受け止める事が出来なかった寅次郎は
この事は夢なのだと無理やりしまいこんでまた旅にでるのだった。
ところで、
寅さんはインテリが嫌いだ
だがインテリを見ると放っておけない。
インテリの一番苦手とする恋の部分が
恋に生きる男には見てられないのだ
八千草薫さんが宝塚出身だったことを最近知ってびっくりしました。
いつもこの作品をみて不思議に思うのは
こんな素晴らしい女性と何故に元旦那は離婚したのだろうか?
しかも千代さん、親権まで取られて・・・
なにがあったんだろう・・・( ̄ー ̄?)
あと不思議なのはポスター
帝釈天で待ち合わせ?・・・とらやに行けばいいので違う。
雨宿りしてる寅に千代が傘を?・・・とらやに行けばいいので違う。
そもそも何故に千代は「川千屋」の番傘を・・・????
違う女物の傘も持っているので番傘は寅さんの?・・・何故「川千屋」???
うーーーーん ( ̄ー ̄?)
男はつらいよ 寅次郎夢枕
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コメント
お千代さんて、幼馴染であることも
手伝って、意外に竹のように
しなって折れないって感じがします。
見た目より粘るっていうか。
あのしっとりと美しいお千代さんが
いつもとらやの斜め前のアイリスにいてくれる。
いいですよねえ~。
寅は、プィっと旅に出てしばらく
帰ってこないかもしれないけれど
気丈夫に結構あっけらかんと
待っている気がします。
それにしてもRUUさん、
お千代さんの番傘が『川千家』だと
読んで今日知りました!ほんとだ!凄い!
今の今までとらやの番傘だと思い込んで
いました(^^;)ゞ
ところで
1年半ほど前にお千代さんの息子さん役(さとし君)を演じた方から
僕のHPを見た感想と励ましのメールをいただいたことがあります。
嬉しかったです。
今はサラリーマンでがんばっておられるようでした。
こういうこともあるんですね。
えええ~~~( ̄Д ̄;)
あのさとしさんからコンタクトが?
やっぱすげー彰さん
映画評「男はつらいよ 寅次郎夢枕」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1972年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり