男はつらいよ~フーテンの寅~

男はつらいよ

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「わたくし、生まれも育ちも
葛飾柴又です。
帝釈天で産湯をつかい
姓は車、名は寅次郎
人呼んで”フーテンの寅”
と発します」
この作品では寅次郎の
活きのいいフーテンぶりが
随所に感じられます


タコ社長が進めていた
寅さんの縁談
これが中々いい感じになってきた
相手は川千家の女中
寅さんの素性を話しても
その気なのだと言う。
こんな時にあの人が帰ってきます。
皆で寅さんの結婚への理想を聞くと
自分はしがない旅ガラス、何も注文などは無いと言うが、強いてと聞けば・・・
・寝坊の女は×
・朝、顔を洗うお湯を沸かして置かなければならない
 かつ、顔を洗い終わるまで丹前の裾を持っていなければならない
・ツッと化粧をしてみつ指をついて亭主を迎えなければならない
 その際、亭主の顔色から、風呂が先か、夕飯が先か判断しなければならない
・酒の燗は人肌。亭主が最後の一滴をチュッとやって杯を置いたと同時に
 次の燗をスッと出さなければならない。
 万が一亭主が眠気を帯びた場合に備えて枕を出すタイミングも気にする事
・たしなみに充分気を使う事
と、まあ寅さんの理想はこの程度だ ( ̄~ ̄;)

当日お見合いに行くと、相手の女性は寅さんの知り合いの駒子だった
しかもお駒さんには亭主がいたはず。事情を聞くと
なんと亭主の浮気に腹を立てて、自分も見合いしたという ← 何だそれ(-_-メ)
しかも駒子は妊娠しているのだ。
寅さんは同情し、とらやに亭主を呼びつけて二人の仲をとりもち、
一から出直しをさせる。駒子夫婦は涙を流して感謝した。
そこまでは良かったが、とらやで大宴会が始まった。盛大な料理に芸者衆
おまけに駒子夫婦の出直し新婚旅行のハイヤーまで。
そして、その費用の請求書はすべて、とらやに回されたのだ。
「あたしゃねえ!みんな先方が払うもんだとばっかり思ってたんだよ!!
だから黙ってたんだよ。何でうちで払わなきゃいけないんだよ!!」

「金金言うなよぉみっともねえったくぅ祝い事じゃねえかよ
少し位の金でもってガタガタ言うなよ」

「あ~!!そうかい!!そんなら自分で払ってみろってんだ!!!」
「何ぃ~?!」
「いいか寅、何度も言うけどなあ、俺たちゃあなあ、たった一人の甥っ子の
おめえの結婚式なら、どんな贅沢だってさしてやらあ!!それがだなあ
何で赤の他人の祝い事にこんな散財をしなくちゃならねえんだ!!」

「あ~!あそうかい!じゃおじちゃんは俺だけ幸せになりゃそれでいいってのかよ」
「そうよ!そうだよ!!」
「そうかい!それじゃあの二人はどうなったってかまわねえってのか?
は~~?!おじちゃんそんな人間かよ!!」

「この野郎!てめえ脳みそも足りねえくせに文句ばっか言いやがってこの野郎!!」
「兄さん!あんた言葉がすぎるよ!おじさん達は何も、あの二人の再婚を祝福しない
と言ってるんじゃない!しかしその為に、芸者を呼んだり料理をとったり
そんな費用まで払う義理あいは無いと言ってるんだ!そんな事が分からないのか!」
「分からないよ!!!テメエも同じ人間か?そんな心の冷てえ人間が俺の親戚かよ!
そうと分かってたらテメエなんかになあ、妹の櫻なんかやるんじゃなかったよ!!」

「表へでろ!!!」
「この野郎、上等だよ!!やったろうじゃねえか!!!」
「ちょっと・・・ちょっとちょっと・・・」
「黙ってろい!ババア」
「博さん、およしよ・・・あんたちょっと、およしってばさ」
「黙ってろい!ババア」
この後、裏庭では、寅vs博の大喧嘩が勃発
「いいか寅!博の拳固は俺の拳固と思えよ!!」
「やってやろうじゃねえか!!こい!!この野郎畜生!!」
「兄さん。殴るぞ!!」
博の魂の右ストレートが寅の眉間にヒット
かんぱつ入れずに背負い投げ。そのまま首を決められて
完膚なきまでにのめされてしまう寅さん
「皆で心配して、今度帰ってきたら、何とかして本気でお嫁さん見つけてえと・・・
本気でそう思ってたのに・・・よくもこの俺につめてえ人間だなんて言ってくれたな
おめえよくもそんな事言ってくれたな・・・」

おいちゃんは涙を流した・・・冷たい人間、それだけは言ってはいけない一言だった
こんなにも寅次郎の事を考えているおじちゃんなのだから。
翌朝寅さんは、反省し人目をしのんで旅立ってしまうのだった



おいちゃんとおばちゃんは三重県の湯ノ山温泉へ旅行をする
部屋に挨拶に来た旅館の女将のお志津は物凄い美人
女将は後家さんで、女将に惚れて旅館に居付いてしまった馬鹿もいる位だとか。
おいちゃん達はあきれてしまうが、実はその馬鹿というのは寅さんだった。
寅さんは、女将はお嬢様育ち、番頭は老いぼれ、見かねて人助けで居るのだという
だが実際は余興で股旅姿で夢中で女将さんの名を叫ぶほど惚れていたのだった
「お志津ぅ~!!」
寅さんは皆のいい笑い者となっていたのだ。



お志津の弟の信夫は恋人の湯ノ山温泉芸者の染奴と文通をしていたのだが
ある日の手紙に、交際を断わるという内容が書かれていた
信夫は染奴に詰め寄るが、染奴はきちんと話をしたがらない
揉め事に居合わせた寅さんも口を挟んでしまい喧嘩騒ぎになってしまう
「お前、横恋慕してるね?その顔に書いてあるよ。染奴は嫌いだってよ」
「表へ出ろ!!」
「そうか、僕が会話で行こうと言うのに、君は暴力で解決しようと言うのか?
上等じゃねえかよ!!血の雨降らせてやるよ!!畜生!!」

橋の上で決闘となった
「そっちから勝手に仕掛けた喧嘩だ、仕来り通りにいきゃゴロ面子は省かして
貰う所だが、あんさんとは縁もゆかりもねえ初対面、新面子だけは通させて貰うぜ!
お控えなすって、差し支えました仁義失礼さんにござんすが、
手前生国と発しまするは関東にござんす、関東関東と申しましてもあんさん関東
いささか広うござんす、西に富士、東に筑波、北に・・・」

仁義の最中だったが寅さんの目の前には信夫のナイフが突きつけられていた。
「注意一秒、怪我一生・・・危ない事はやめましょう・・・」
そこへ間一発、お志津が止めに入った。だが寅さんは橋から落ちてしまうのだった。
寅さんは、信夫がお志津の弟と知ると、一肌脱いであげる事にする
芸者を口説く場合の寅さんの奥義、”コタツの恋”を伝授したのだ
”コタツの恋”とはつまりコタツの中で相手の手を握ると言う高等技術
この時一番気をつけなくてはいけないのは、相手の目は見ないと言う事だ。
だが、この作戦は大失敗に終わった。信夫は間違えて寅さんの手を握ってしまっていた。

実のところ染奴は、病気の父親の借金を返すために、
金持ちのになるなければならないと言う事情があったのだが、
寅さんの導きにより、若い二人は駆け落ちをさせて
病気の父親も寅さんの知っている治療院にかくまう事にした。
渡世人の世界の顔、寅次郎にしか出来ない事だった
「荷物は後ろに乗ってらあ、コイツを担いで俺は一生歩くんだ!!」
そう言うと信夫達は意気揚々と旅立って行った。 ← やるね、フーテンの寅
若い者達の姿を見て、志津も決心を決めた
旅館を売り払い、かねてから交際をしていた吉井結婚をする事にしたのだ
志津に惚れていた寅さんは、失恋してしまう
寅さんは身を引かなければならないと思い、精一杯、志津への気持を伝え
去って行くのだが、志津は所詮お嬢様、寅とまともに話もせず
避けてばかりで、キチンと話もしない有様だった
・・・ああやりきれない!!志津よ、相手の気持も考えろよな、
夕子さん見習え!夕子さんを!!立派だから (▼▼メ)





男はつらいよ~フーテンの寅~
車寅次郎は股旅ガラスの渡世人
悲しみも風が吹き飛ばしてくれます
気楽を気取った旅また旅、
鹿児島からの船の上では、
寅さんの粋な啖呵が飛び交っていました




ところで、
シリーズ中、トップクラスの残酷な失恋でした
寅さんが障子越しに志津に思いを打ち明けるシーン(志津は居ないのだが)
志津が車から寅さんを見かけるが、そのまま走らせるシーン
テレビで寅さんが志津に語り掛けるが、志津がテレビを見ていなかったシーン
とたたみかけるように残酷な場面が続いて、見ていて辛いです (>_<)


寅さんのトレンチコートに白いスカーフという珍しいいでたちも見ることが出来ます


寅さんに向いている職業、カウンセラー
自殺願望のある若者は全てイロノーゼ
色気が頭に来ている状態。インテリに発祥しやすい
という驚くべきカウンセリング結果


「可愛くっても妹じゃしょうがねえや」と言って
櫻の写真にキスをするシーンが物議をかもした事がありますが
何て事はない、場の雰囲気で仲居さんにふざけてただけの事だと僕は思います
それと寅さんの結婚願望もこの頃強かったという印象で~す


源、あんたとらやの店員なのかい ( ̄ー ̄?)

鳥飼ってたのか!とらやさん ( ̄ー ̄?)




コメント

  1. 彰(あきら) より:

    ラスト付近、
    テレビで、志津さんと娘さんのことを
    妻子だと言って呼びかける寅。ああ…切ない(TT)

    「♪亭主ぅ~、持つぅなあら~、
    かたぁぎを~、おもおも~ち~、
    とかくやくざぁ~は~、
    苦労ぉ~のぉぉ~たぁねぇ~よ~、
    恋も人情ぉぉ~も、旅のぉ~そぉ~~らぁ~…」
    旅笠道中が目に沁みます。

    でもこれだけ残酷なのに、寅は強いですね。
    高らかに歌を歌い、さっそうと去っていく。
    そしてラストでもみんなに笑いを振りまき
    元気一杯でした。

    この作品のよさはここですね。
    純情で、ブザマで、悲惨で、
    そしてなにより力強い寅!






  2. RUU より:

    彰さん
    「止めてくれるな!
    それが渡世人の、
    あ、辛ぇ~ところさ~
    お志津ぅ!!」
    ・・・最高です頭から離れないシーンです

    コタツの恋・・・
    今はコタツが少なくなってますからね
    日本の伝統として、絶やさず
    この奥義を伝承してもらいたいです

    恋も人情も旅の空
    この作品のテーマですね

  3. 小寅 より:

    高度経済成長の時期なのでしょうか?
    ダンプ等の建設車両が犇めき合う
    整備されてない道を歩く寅。
    その姿をそっと見つめるお志津さん。
    寅が口ずさむ歌と合っていて
    悲しいけど
    とっても印象的なシーンでした。

    ロケ地を追求する者としては
    是非とも訪ねてみたい道でもあります(笑)

  4. RUU より:

    小寅さん
    あの道があのままだったら
    それこそ凄い事ですね
    僕もこの作品を見ると
    いつも時代の移り変わりを
    感じます
    子供の頃あんな道ばかりでしたね

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