去るべきか、留まるべきか、それが問題だ。
寅さんの甥で、櫻の息子の満男
彼は今就職試験の真っ最中
だが、38社受けて全て落ちてしまう
満男はやけになり、就職活動を投げ出し
一人であても無く旅に出て行ってしまった。
このままでは大変な事になってしまうと、
すっかり落ち込む櫻だった。
こんな時に、あの人が帰ってきます。
・・・が、寅さんは、とんでもない対応を受ける事になる
悪い事に、店にいたのが、くるまやの新しい店員の木村かよ、
かよは突然目の前に現れた突拍子もない人物をみて、すぐさま警戒モード
「お・・・おじさん誰よ(怒)」
「俺か?、俺はこの店の跡取り。車寅次郎」
「う、うそ~~~~!!」
寅さんも瞬時にこの子とは相通じないと判断。対極を微妙に避ける。
この、木村かよが僕は大好きだ、この無愛想さが何ともかわいい。
”くるまやの新しい女店員”となると、人情味の漂う人物とか、明るい子とか
そういうタイプを想像しがちだが、山田監督はそうしなかった
無愛想で礼儀知らず、だけどどこか憎めない女の子
このいまだかつてない登場人物を常備させて、この子と寅さんの不協和音を描く。
とっても楽しくて、嬉しい新演出だ。僕の大のお気に入りの演出。さすが山田監督だ。
櫻は満男の就職の失敗と家出の事を寅さんに相談
この間、何度説明を受けても警戒モードを解除しないかよ
ずーっと寅をちら見、三平に「これ、誰これ?」 ( ̄∇ ̄;)
心配する櫻を見かねて、寅さんは満男のいる、香川県の琴島に迎えに行くことになった。
「満男、伯父さんの顔をよ~く見るんだぞ。分かるな、
これが一生就職をしなかった人間の成れの果てだ。お前もこうなりたいか?」
そんな風に諭すつもりの寅さんだったが、一方で
今頃満男は島の娘と恋仲になっているに違いないと、ふくみ笑いを浮かべるのだった。
香川県琴島、
満男は、もと大型客船の船長だった田宮善右衛門という
おじいさんの家で居候して暮らしている
その家では、善右衛門の妾の娘、葉子が病気の療養をしている
葉子は神戸で料亭を経営していたが、借金に苦しみ、体を壊し、
とうとう料亭も倒産して、何もかも諦めてしまっていた。
満男は若い人手の足りないこの島で、島の人々の手伝いなどをして
皆から必要とされて、充実した日々を送っている。
その上、島のアイドル的な存在の看護婦の亜矢と恋仲になっていた。
「この島の暮らし、満男さんに向いとるんやないの?」
「いっそ島で雇ってもらうか」
「フフ、もう雇われとるやないの!」
そこに現れる寅さん、
「へへへへ、こんにちは、満男さん」
「診療所の看護婦さんで亜矢ちゃんというんです」
「こんにちは、初めまして」
「よろしく」
「両親の心配をよそに、この孤島でかわいい娘さんと、唄をうたっていたか。
さぞかし気が晴れただろうな、さ、支度して伯父さんと一緒に柴又に帰ろう」
「やだよ、俺帰んない。わざわざ来てもらって悪いけど」
いくら言っても聞かないので、仕方なく満男の気が済むまで寅さんも滞在する事になった。
満男が居候している家に向うが階段だらけ、寅さんは疲れて歩けなくなってしまい
休んでいると、葉子が買物で上から階段を降りてきた
「こんにちは、どちらかお尋ねですか」
「さあ~、どちらでしょうか・・・」
絶世の美女の登場に寅さんはすっかり一目惚れ
葉子もまた、一目見て寅に心ひかれてしまう。
田宮家ではその夜、島の人たち皆で、寅さんの歓迎会と葉子の全快祝いが催された
盛り上がる中、船長と葉子はタンゴを踊る
葉子は久々に楽しい時をすごした。そしていつしか、
葉子は寅さんに腕をからませ頬をよせ、寄り添っていた。
翌朝、寅さんは葉子の寝顔に別れを告げ、こっそりと帰ろうとする
このまま長居して、葉子と妙な噂が立ってはいけないと思ったのだ
「寅さん!なんでぇ?何で黙って行ってしまうのぉ?」
「初めてお会いしたあの日から、分かれる時が来るのがつろうございました」
「だめよ~!行ってはダメ!」
「葉子ちゃん、幸せになっておくんなさい。ごめんなすって」
「伯父さ~ん!連絡船欠航だって!波が高くて」
「低気圧が張り出しているから、2,3日はダメです」
「寅さん戻ろう」
「戻りましょう!!」
島に来た時の葉子は、会社も倒産し、借金を作り、病気になり、自暴自棄だった
だが、父のそばで海を見たり、風の音を聞いたりしているうちに、次第に涼やかな気持になれた
そんな時に現れたのが寅次郎だったのだ
「坂の上から、あんたが日傘さして歩いてきたっけ」
「ああ、この人なら何でも話し聞いてもらえるわ・・・そう思うたんよ
寅さんみたいな人もおるのねえ、どうしてもっと早よう会わんかったんやろう」
「俺もそう思う・・・」
葉子は寅に、何かプレゼントがしたいという。だが、シャツは着ない、靴は履かない、
ネクタイ締めない、コートは羽織らないときてる。困った葉子は恥ずかしそうに・・・
「じゃあ・・・温泉にでも行く?」
「俺・・・風呂へは入らねえ!」
「んもう!!意地悪ぅ!!」
照れまくってしまう寅さんだった ← ただし、風呂入らないのは本当 ( ̄▽ ̄)
満男は亜矢と二人でお弁当を食べている。
いい年した伯父さんの事を心配している満男を見て、亜矢は不思議に思った
「美人に弱くってな、よせばいいのにすぐ好きになって、最後は必ずふられるんだから」
「惚れっぽい人なんやねえ」
「向こうがその気だった事もあるんだぜ、だけど、
伯父さんの方が逃げ腰になっちゃうんだ。見てて歯痒くってさ」
「・・・じゃあ、満男さんにも遺伝してんや」
「・・・どういう意味だよ?」
「フフ、さあ・・・」
亜矢は満男に手編みのセーターをプレゼントする
ふざけあっているうちに、農家の納屋に紛れ込んでしまう
そこで二人は、キスをして、抱きしめあう
・・・が、島の人に呼ばれて、はいはいと手伝いに行ってしまう満男だった。 ← 遺伝
寅さんも満男も、お互いこの島に留まれば、確実に愛を育んでいけた。
だが、満男がでしゃばって、寅さんの気持を葉子に話したことから、
葉子を怒らせてしまい、寅もこのままではいられなくなってしまう
そして、それをきっかけに満男も元の暮らしに戻る決心をする。
寅と満男の乗る連絡船には、亜矢が泣きながらいつまでも見送っていた
「努々、俺のような遊び人になるなよ」
そう満男に告げて、また一人旅立つ寅さんだった。
葉子もまた、働いて借金返済する為、大阪に戻る
そんな葉子に、父から家の土地の権利書が手渡された
「お前、困っとるんやろう?寅次郎君が言うてくれたんや、気付かんですまん事したな」
男はつらいよ~寅次郎の縁談~
去るべきか、留まるべきか・・・
結局二人は留まらなかった。
満男にはやるべきことがあり、
寅さんには放浪の旅が、あたりまえだったのだ。
ところで、
第1作の冬子さん(御前様の娘)が登場しました
「寅ちゃん」と言ってくれたのが、ファンにはたまりませんでしたね
くるまやの前を「釣りバカ日誌」の浜ちゃんが通ります
「こんな雨の日に魚釣りかい?」 by おばちゃん
今回から、神戸浩さんが登場、大好きな役者さんです。しっかりと脇で花を添えてくれます。
満男の恋の相手、亜矢ちゃん。
あんなつらい別れの直後
もう他の男性と晴れ着で初詣・・・う~んどうなんだろう ( ̄~ ̄;)
それにしても、本当にかわいい、くるまやのかよちゃん (* ̄∇ ̄*)
コメント
☆すでに新しい彼氏を見つけてルンルン初詣亜矢ちゃん。
★亜矢ちゃんのセーターを正月になっても
いつまでも着て未練たっぷりの満男。
この二人の違いは大きいです(TT)
ここで一言。
寅「満男ー!おまえはまたふられたぞぉー!ざまあみろ。」
もう一言。
寅、あんたもな(--)
この物語での葉子さんの言葉
「寒い冬の日、お母さんがかじかんだ手をじっと握ってくれた
時のような体の芯から温まるような温かさ…」
なるほどです。さすが松坂さん。
寅(第27作)と満男のご両人に「だあれだ?」の
背後からの目隠し遊びをしただけあって、
貫禄の洞察力でした。
RUUさんお気に入りの
『カヨちゃんVS寅.因縁の対決』は
このあとも2ラウンド続きますよね。
どんなことがあっても最後まで寅を覚えないカヨちゃん。
筋金入りですよね(^^)
あ、今回も満男に裏切られた岡部とよっちん。
彼らもお人好しが筋金入り…。
彰(あきら)さん
「惚れっぽい人なんやねえ」(亜矢)
にも一言
「お前もな」
ぶっちゃけ、亜矢ちゃん
”周り振り回し系、不思議少女”
に僕の目には映ります
真逆に全く愛想を振りまけない
かよちゃんの方が人間っぽくて魅力的だな僕は
満男にはまだまだ分からんだろうけど
私は満男には泉ちゃんや菜穂ちゃんより亜矢ちゃんがお似合いかな~って密かに思っていたんですが、ナルホド!亜矢ちゃんは切り替えが早いんですね!(笑)
これからはRUUさんお勧めのカヨちゃんに注目ですね♪
小寅さん
かよちゃんはいいです!
でも三平というライバルが・・・( ̄□ ̄;)
映画評「男はつらいよ 寅次郎の縁談」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1993年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
男はつらいよ 寅次郎の縁談
男はつらいよ 寅次郎の縁談(1993/日本)
評価(お奨め度)★★★☆☆
監督: 山田洋次
製作: 櫻井洋三
プロデューサー: 丸山富之/島津清
脚本: 山田洋次/朝間義隆
撮影: 高羽哲夫/池谷秀行
美術: 出川三男/横山豊
編集: 石井巌
音楽: 山本直純
照明: 野田正博
助監督: 阿部勉
出演: 渥美清/松坂慶子/倍賞千恵子/吉岡秀隆/城山美佳子/前田吟/下絛正巳/三崎千恵子/…